ハイブリッド車は燃費が良いのが魅力ですが、車両価格は高くなります。このため、ハイブリッド車のほうがガソリン車よりもトータルでお得かどうかは、どれだけ長距離を走るかによって変わります。
より具体的には、以下の条件を満たすほど、ハイブリッド車の総コストは安くなります。
- 走行距離が長い
- 長期間使用する
- ガソリン単価が高い
- 車両価格差が小さい
そうはいっても、具体的にどのくらいで元が取れるのかは、実際に計算してみないとわかりません。
そこで、車両価格や燃費等を入力することによって、どちらがどれほど安いのかをシミュレーションできる計算ツールを作成してみました。
以下ツールを使用すると、何キロ以上走ればハイブリッド車のほうがお得になるのかという、損益分岐点を概算できます。
また、オプションの年間走行距離や使用年数を入力すると、何年乗れば元が取れるのか、乗り換え時点で総費用(車両価格+ガソリン代)にどれだけ差が出るのかを計算することもできます。
計算式は公開しておりますので、あくまで自己責任でご利用ください。
初期値について
この計算フォームの初期値は、ハイブリッド車とガソリン車の両モデルがあるヤリス Xクラスの数値をネットで拾って入力してみたものです(記事作成時点)。
車両価格の初期値は、税込の本体価格そのままです。値引きとディーラーオプションでそのくらいだろうという大まかな見積もりです。
ヤリス ハイブリッド車(MXPH10B)とガソリン車(MXPA10)の燃費はそれぞれ、WLTC モードで 36.0 km/L と 21.6 km/L ですが、実燃費はこれらカタログ値より低いのが普通なので、初期値には e燃費(e-nenpi.com)に掲載されていた実燃費の数値(それぞれ 25.88 km/L、16.24 km/L)を採用しました。一般に、カタログ値の 7~8 割くらいでしょう。
ガソリン価格や年間走行距離、使用期間は、自家用車として一般的な数値をググってみた結果から採用しています。
初期値での試算結果について思ったこと
初期値のままで計算すると、9年使用後でもハイブリッド車のほうが約 19 万円高いという結果になりました。
車検等のメンテナンス費用や買取価格の差などは考慮していませんが、ハイブリッド車の燃費で元を取ることは難しいケースが多そう、ということがわかります。出勤などに使用せず、年間 4000 km くらいしか走らない場合には、この差はもっと大きくなってしまいます。
ただし、ガソリン価格は不確定要素が大きく、仮にリッター 200 円とすると、この価格差は約 14 万円に縮まります。
また、ハイブリッド車とガソリン車の機能は同じではありません。特に、ヤリスやアクアなどのハイブリッド車には非常時給電システムが備わっていて、停電時に自家発電機の代わりとして AC100V の給電ができるという、私にとっては非常に魅力的な機能があります。
非常時給電システムについては、太陽光パネルがある戸建て住宅では不要かもしれません。また、停電時にも、以下のグッズなどを用意しておけば、スマホの充電と照明、お湯が最低限は確保できるので安心です。
ハイブリッド車のほうがエコ?
ハイブリッド車は燃費が良く、ガソリン車よりも環境に優しいといわれています。それならば、同じくらいの総費用であれば、ハイブリッド車のほうが良い感じがします。
しかし、CO2 の排出で問題になるのは、走行時のガソリン消費量だけではありません。
LCA(ライフサイクルアセスメント)の観点を取り入れると、製造時の CO2 排出量を考慮する必要があります。
以下の記事によると、ハイブリッド車の製造時の CO2 排出量は、電気自動車(EV) よりは低いものの、ガソリン車よりもやや多いようです。
数値がないので具体的な比較はできませんが、エコの観点からもみても、あまり乗らないのであれば、ハイブリッド車がガソリン車より絶対的に優れているとはいえないように思います。
環境問題に関して、理系の私としては以下の本がとても勉強になったのでお勧めです。