私は趣味で何年も生地からピザをつくっているのですが、本場の味とはやや異なります。
本格的なナポリピッツァのお店に行って確かめつつ、いろいろ試行錯誤してみましたが、ある程度美味しくはなっても、完全には満足できません。
いろいろなレシピで試してみたものの、窯の違いであったり、日本で入手しやすい代替材料を使ったりしているせいで、差が生じてしまうのでしょう。
半ばあきらめかけていたとき、近所にできた小さなピザ屋で購入したマルゲリータを食べたところ、その美味しさに感動しました。
もっちり感もありながらサクッとした生地感、程よい酸味と旨味。
まさに理想として求めていたピザの味です。
以前、真のナポリピッツァ協会認定店と謳うお店で食べたピザよりも美味に感じられ、驚きました。
調べてみると、そのピザ屋の店主は、イタリアの名店・スタリータ(Starita)で修業をつんだとのこと。さすがです。
この味に近づきたい。
そう思い、本場ナポリのピザの材料について再び調査してみました。
※参考にしたサイトの一覧は最後に記載しています。
本格ナポリピッツァの材料について
ピザ(マルゲリータ)の材料はシンプルで、基本となるのは、小麦粉、酵母、トマト、バジル、モッツァレラチーズ、オリーブオイル、塩などです。
シンプルゆえに、どの材料を選ぶかによって味が大きく左右されます。
これらピッツァの材料について、それぞれポイントを紹介します。
小麦粉と酵母は特に重要です。
ピザ生地の小麦粉にこだわる
ナポリピッツァのレシピをいくつか見ると、材料の小麦粉として、強力粉と薄力粉が使われていたり、薄力粉だけが使われていたりします。
強力粉と薄力粉の違いはタンパク質(グルテン)の含有量で、一般的に、パンには強力粉、お菓子などには薄力粉を使います。
フランスパンには準強力粉を使ったり、薄力粉を混ぜたりすることがあります。
本場ピッツァの生地は、そのどれとも異なりますが、どちらかというとフランスパンに近いような感じがします。
何が正解なのかと思って調べると、真のナポリピッツァ協会のサイトには、「00タイプの小麦粉」との記述が見つかりました(0タイプも可)。
イタリアでは、小麦粉をタンパク質で分類するのではなく、挽きの細かさで分類するそうです。
最も細かい 00タイプの小麦粉を使うと、生地に弾力があり、とても滑らかな食感になります。
本格的なピッツァ生地をつくるのであれば、イタリアのピザ向け小麦粉を使うのが一番です。
日本で手に入りやすい 00タイプの小麦粉は、CAPUTO の小麦粉です。以下は Amazon で少量から安価に購入できます。
CAPUTO は、真のナポリピッツァ協会認定物産企業でもあるので、間違いありません。
ちなみにこのサッコロッソ・クオーコは伝統的なナポリピッツァに適していると説明されていて、タンパク質含有量は 13.5% です。
日本では強力粉に分類されるであろうグルテン量ですが、ただの強力粉で作るとサクッとした食感は難しく、パンっぽくなってしまうため、本格を求めるのであれば、代替品を探すことはあまりお勧めできません。
ピザ生地のイーストにこだわる
生地の酵母(イースト)には、ドライイーストと生イーストがあり、レシピではどちらも使われています。
これについて、真のナポリピッツァ協会のサイトでは詳しい説明は見つかりませんでした。
私はパン作りをしていて、さまざまなドライイーストや生酵母を試したことがありますが、パンの風味・おいしさは、イーストによってかなり変わります。
一番おいしいと思ったのは、ホシノの天然酵母です。本当に美味しいパンができますが、ただ、使うまでが手間です。
ただし、これがピッツァにおいて正解なのかは不明です。海外のサイトを見ると、ピッツァの生地にはサワードウ(Wikipedia)を使用していました。こだわる人は、検索してみてください。
私は生酵母を起こすのが面倒なので、通常はドライイーストを使用しています。
ドライイーストに関しては、サフがベストだと思います。生酵母にはかないませんが、大きく劣るわけでもなく手軽なので、一度使うと戻れません。
サフのドライイーストにはさまざまなタイプがあり、色分けされています。
一般的なのは赤サフで、これは大き目のスーパーなどでも入手できますが、発酵力が抑えられたピザ用のドライイーストもあり、ピザ生地の伸びが違うようです。
いずれにしても、少量で時間をかけて発酵させると美味しくなる気がします。
モッツァレラチーズについて
本場のチーズにこだわるなら、乳牛(カウ)ではなく水牛(バッファロー)のミルクでつくられたモッツァレラ・チーズがベストですが、入手は困難です。
乳牛のミルクでつくられた Fior di latte(フィオルディラッテ)でも問題ありません。
真のナポリピッツァ協会のサイトには、次のチーズが本場の材料として認められています。
・カンパーニア州産水牛モッツァレッラD.O.P. モッツァレッラS.T.G
・アペンニーノ山脈産「フィオル・ディ・ラッテ」D.O.P. または認証を受けたその他のフィオル・ ディ・ラッテ
DOP とか STG とかは、特定地域で認定された特産品ということのようです。
ネットでは以下の商品が見つかりましたが、クール便で送料も高いので、成城石井などの高級スーパーやカルディで買うのもお勧めです。
近所のスーパーで代用するのなら、モッツァレラ入りのカットタイプやスライスチーズよりも、パウチの塊のモッツァレラチーズ(明治やクラフトなど)を購入し、カットして使うのがお勧めです。
液体なしでパックされたブロックタイプのモッツァレラチーズも伸びが良く、次いでお勧めです。
トマトソースの塩にこだわる
塩について、真のナポリピッツァ協会の指定はありませんが、ピザソースはトマトと塩のみで作るため、こだわってみても面白いかもしれません。
GLEBE KITCHEN という海外サイトのナポリピッツァのレシピでは、「kosher salt」(コーシャーソルト)が使われていました。
コーシャーソルトは日本ではあまり馴染みがなく、ミネラルを多く含んだ日本の塩で代用しても問題なさそうですが、海外では次のコーシャーソルトが美味しいと評判です。
ちなみに分量は、28 oz(794 g)のトマト缶に対して小さじ1杯で、普通の塩の場合は小さじ 2/3 だそうです。
日本でよく見る 400g のトマト缶なら、この半量です。
マルゲリータのトマトについて
マルゲリータのトマトソースには、サン・マルツァーノ種やローマ種などの細長いトマトを使います。
真のナポリピッツァ協会のサイトには、次の記述があります。
ホールトマト:アグロ・サルネーゼ・ノチェリーノ平野のサン・マルツァーノD.O.P.細長いローマ種のトマトは、生トマトでもホールトマトに加工されたものでも使用が認められている。ホールトマトは、水分を切り、手でつぶして均一になるように混ぜておくことが望ましい。
この種の生トマトが入手できない場合、ホールトマト缶で問題ありません。
つい生トマトのほうが美味しいのではと思ってしまいがちですが、日本のふつうのトマトでは味が異なります。
イタリア製ホールトマトは、輸入食品店などで手に入ります。
どれが良いかはまだ絞れていませんが、今のところコスパを考えると、イタリアット(旧モンテベッロ)のものがお気に入りです。
イタリアのオリーブオイルについて
高級なオリーブオイルは、さらっとしていてフルーティで、安物と違います。
とはいえ高いものはものすごく高いので、それほど高くない価格帯でのお勧めは、MIRA社のラニエリ(Ranieri)エクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイルです。
あのサイゼリアで使われているオリーブオイルとしても有名です。
イタリア国内のオリーブオイル評定委員資格を持つ MIRA 社も、真のナポリピッツァ協会認定物産企業です。
バジルについて
バジルは、乾燥バジルでは物足りないので、生バジルがお勧めです。
大きなスーパーではハーブ売り場で購入できます。
近くにない場合でも、ホームセンターでは苗を売っていることがあります。
育てやすいので、苗を買ってベランダや庭で育てるのもお勧めです。
焼く際は、一番上にのせると焦げやすいので、トマトソースを塗った後、チーズをのせる前に並べます。
参考になるレシピ、サイトなど
この記事を書くにあたって参考にしたページをご紹介します。
・真のナポリピッツァ協会
ナポリに本部があり、Starita などもここの会員です。日本語ページもあります。
・きょうの料理レシピ
ここでは、プロによって、家庭での本格的なナポリスタイルのピッツァのつくり方やコツなどが紹介されています。
・All About の記事
こちらのレシピも参考になります。高温になる専用のピザ釜がない場合の、家庭用オーブン向けの工夫として、生地にオリーブオイルを入れることを提案しています。
ピザ釜は 400℃以上の高温で短時間で焼くのに対し、家庭用オーブンは 250℃程度なので、この違いは考慮する必要がありそうです。
・GLEBE KITCHEN
英語ですが、本格的なナポリピッツァについて興味深い解説があります。生地についても非常に詳しく書かれています。