海釣りでは「上げ3分下げ7分」の時間がよく釣れるといわれています。釣行時間が限られるなら、よく釣れる時間帯を狙って行きたいものです。しかし、潮見表を見ても、書いてあるのは満潮時刻と干潮時刻だけで、上げ3分下げ7分の具体的な時刻は書かれていません。自分で計算する必要があります。
この上げ3分下げ7分の計算は、計算式としては単純なものの、意外と面倒です。そこで、干満時刻を入力することにより、上げ3分下げ7分の時刻が計算されるツールを作成してみました。
上げ3分下げ7分の時刻を計算するツール
干満時刻から3分目と7分目の時刻を計算するツールは以下のとおりです。連続する干潮と満潮(または満潮と干潮)の時刻を時系列順に入力すると、上げ3分と上げ7分(または下げ3分下げ7分)の時刻がわかります。
各地の干潮時刻と満潮時刻は、潮MieYellなどのサイトや潮見表から調べ、メモしてからご利用ください。
時間と分がそれぞれ1行ずつの形式となっているのが見にくいですが、私の技術力では難しいのでご勘弁を。
何分目の時刻で釣れたのかを確認するツール
なお、釣れた時刻が上げ潮や下げ潮の何分目の時合いだったのかを確認したい場合のために、干満時刻と指定の時刻から何分目に相当するのかをパーセントで計算するツールもついでに作ってみました。
上げ3分下げ7分の簡易計算式
参考までに、上げ3分下げ7分などの時刻を簡易的に求める計算式も紹介しておきます。
それは、干潮時刻や満潮時刻から約1時間50分後、あるいは約1時間50分前とする計算です。
たとえば、干潮時刻が12時ちょうどなら、その前の10:10頃が下げ7分(潮位基準で下げ3分。詳細は後述)、13:50頃が上げ3分、という具合です。
満潮と干潮は1日に2回ずつあり、その周期は平均6時間ぐらいなので、おおざっぱに計算するとそうなるということです。
60(分) x 6(時間) x 0.3 = 108 (分) =1時間48分
ただ、6時間というのはあくまで平均です。実際の干潮時刻と満潮時刻の時間間隔を調べてみると、3時間ちょっとの時もあれば、8時間以上も空いていることもあります。あくまで簡易計算であり、誤差も結構あるということにご留意ください。
上げ3分下げ7分か、上げ7分下げ3分か?
「上げ3分下げ7分」という格言について調べてみると、いや、「上げ7分下げ3分」だとか、「上げ3分下げ3分」だという意見もあり、数字が定まりません。
参考までに、引用符を付けてググってみると、ヒット件数は以下のようになりました。
- 上げ3分下げ7分・・・ 3,260件
- 上げ3分下げ3分・・・ 9,120件
- 上げ7分下げ3分・・・ 13,600件
- 上げ7分下げ7分・・・ 3件
漢字で検索すると、また異なる結果となります。
- 上げ三分下げ七分・・・ 6,330件
- 上げ三分下げ三分・・・ 9,040件
- 上げ七分下げ三分・・・ 6,570件
- 上げ七分下げ七分・・・ 2件
ヒット件数からは何が正しいのかすらわかりませんが、どうやら3分目と7分目が釣れやすいという傾向はあるようです。
この表現は解釈が多様で、干潮時の潮位を基準に十分割する解釈と、時間間隔で十分割する解釈が混在しています(上記ツールは時間基準)。上げ潮の潮位(高さ)の3分目と時間の3分目では大きな差はありません(後述)が、問題は「下げ〇分」の解釈です。
満潮から下げ始めて2時間ほど経ったときの時合は、干潮時の潮位をゼロとして解釈すると「下げ7分」ですが、時間経過で解釈すると「下げ3分」となり、似て非なる表現となってしまいます。どちらのことを指しているのかは人によって異なるため、注意が必要です。
いろいろ読むと、格言は潮位基準であり、次の図の時点(上げ始めと下げ始め)を指しているという解釈が主流です。これらの同じ時合のことを、「上げ3分下げ7分」という人と、「上げ3分下げ3分」という人がいるということです。
この図の紫のポイントを「下げ3分」という人が多いのは、潮位で7分というのは現場でわかりにくく、時間で考えたほうが簡便だからでしょう。
釣り人としては、「結局、釣れるのはいつなんだい?」というのが気になるところですが、これは対象魚やポイントによって異なる、というのが大方の意見でした。水位が高いほうが有利なポイントでは「上げ3分」より「上げ7分」のほうがよかったりするし、河川の下流部や汽水域では塩分濃度の変化も考慮する必要があるでしょう。
潮位の7分目と時間の3分目のタイミングのズレ
上げ潮における潮位(高さ)基準の3分目と、時間(満潮干潮時刻の時間差)基準の3分目はだいたい同じです。下げ潮においても、潮位基準の7分目と、時間基準の3分目はだいたい同じ時合を指します。
しかし、これらのタイミングは、厳密にいうと異なります。上のツールは時間基準で3分目と7分目を計算していますが、潮位を基準とした場合とではどの程度の差が生じるのでしょうか。
気象庁の潮位表では、1時間ごとの潮位が公表されているため、これを基に調べてみました。
ある大潮の日は、満潮が 16:05、干潮が 22:59 で、その間の潮位をグラフにすると次のようになります。
このとき、時間基準で3分目となる時間は 18:09 ですが、潮位基準で7分目となる時間は 18:44 頃となり、30分以上も後の時間でした。潮位基準の7分目は、時間基準で38%、つまり3.8分目です。
格言を重視するなら、時間基準(上記ツール)の3分目よりちょっと後の時間のほうがベストなのかもしれません。
ちなみに、時間当たりの潮位変化量が最も大きい時間は、潮流が最も激しい時間です。これを調べると、最大値は19時から20時の間でした。つまり、満潮と干潮のちょうど真ん中の時間であり、潮位も5分の時間です。
潮の流れのマックスは5分目ですが、潮位基準で7分目(時間基準で3分8厘)の時間も、潮位変化量はマックスに近い大きさです。
格言の「上げ3分下げ7分」の時間(潮位基準)は、まさに下がり(上がり)始めて潮が大きく動く時間です。釣れそうな気がします。
以上、「上げ3分下げ7分」の格言が示す厳密な時間について考察してみましたが、実際のところは、大まかな時間帯が把握できれば問題ありません。
そこで便利なのが、タイドグラフが見れる腕時計です。月の満ち欠けと大潮・中潮・小潮がわかり、現在の干満の状態を6段階で確認できる G-SHOCK は、お勧めです。