三徳包丁や牛刀は万能に使える包丁といわれているが、さすがに魚の骨を断つのは難しい。
できないことはなくても、歯が欠けてしまったり、扱いづらくて危険だったりする。
そんなときはやはり出刃包丁の出番だろう。ギマを釣って苦戦したので、ついに購入することにした。
きまぐれクックさんみたいに魚をさばきたいが、かといって滅多に使わない出刃包丁にはなるべくお金をかけたくない。さらには、包丁の置場で場所を取りたくもない。
とりあえず売れ筋の出刃包丁を探してみて目に付いたのは、貝印の次の商品。

安価なステンレス包丁の切れ味が悪いことは知っているが、有名ブランドでモリブデンバナジウム鋼を使用してこの価格は魅力的であり、売れ筋なのもわかる。
ただ、165mm の大きさはちょっと場所を取るし、さばくのは小魚が多いので、私にはより小さめがいい。小さいほうが安く済むという利点もある。
105mm の小出刃なら、下村工業のヴェルダンもよさそうだ。

以前、このシリーズの三徳を使っていて、切れ味がすぐに落ちるのは問題に感じたが、研げばそれなりには切れるし、オールステンレスで洗いやすい点は魅力的だ。
しかし、100mm前後ではアジ切りのサイズであり、中くらいの魚をさばくときには小さすぎる気もする。欲しいサイズにはちょっと足りない。2本も買いたくないし、3千円を超える出費になるのもイタい。
そんなわけで、なるべく安く、それなりに切れ味がよい、130mm 程度の小出刃包丁を探してみることにした。
ステンレスではなく鋼製なら安くて切れる包丁が見つかるかと思ったが、これは見つからず。
代わりに見つかったのが、富士カトラリーの令月シリーズの小出刃包丁だ。
富士カトラリーとは聞いたことがなかったが、調べてみるとあの「藤次郎」の販売会社とのこと。ショップによっては、「令月」の包丁を「藤次郎」として販売しているサイトもある。
藤次郎はコスパの良い包丁として定評があるし、実際に使っていて、その良さは実感している。同じ価格帯なら、パール金属や貝印などよりは個人的に期待できると思っている。

この令月の小出刃包丁、130mm なら 2千円以下で購入できるのは魅力的だ(2024.6月時点の最安値)。
ただ問題は、きれいな商品写真がほとんど見れないことと、口コミなどの情報が少ないこと、そして中国産であること。安い出刃包丁は刃が薄いことがあるが、厚みもわからない。
不安を感じないでもないが、その価格とサイズのラインナップの豊富さ、そして藤次郎への信頼を重視し、購入してみた。
届いた商品パッケージを見ると、中国産とはいえ、中国産なのは刀身部のみで、「日本国内で検査し木柄を打ち込み梱包まで行っております」とのこと。それならば、ただとにかくコスパの良い包丁が実現できそうだ。
ちょっとだけ期待しつつ開封してみると、こんな感じ。


この値段にしては、造りに問題はない。刃は機械研ぎだろうが、そのままで使えそうな程度にはなっている。
刃の厚みも、根本付近で2mm超はあり、ペラペラ感はない。

ただ気になるのはその切れ味の程度だ。ステンレス鋼の輝きは値段相応で、切れ味抜群には見えない。
そこらへんが、「藤次郎」ブランドの刻印が入っていない違いなのかもしれない。
実際に魚をさばくのはいつになるかわからないが、不安もありつつ、牛刀よりは楽にさばけるのではないかと期待している。実際に使ってみたら追記したい。
追記:使ってみて後悔したこと
その後、令月の小出刃包丁を実際に使ってみたところ、微妙。。
やっぱり安いステンレスの限界か、切れ味があまりよくない。刃こぼれを気にしなくてよいぶん、牛刀よりは思い切って使いやすいけれども、魚に対する刃の食い込みはイマイチだし、スパッと切れる爽快感はない。
また、木の柄を使用したことにも後悔している。
魚の臭いが染み込むから。最初は食洗機が使えないだけかと思っていましたが、クエン酸やら酢を使ってもなかなか臭いが取れない。天日に干してようやくマシになったが、こんなに臭いやすいならオールステンレスの包丁がよかったな。
そんなわけで、中途半端な買い物をしてしまったなと少し後悔している。値段にしては良いのだけれども、やはりケチりすぎてしまったようだ。。
価格と切れ味を重視するなら、サビやすくとも本鋼の以下の出刃包丁のほうがよかったか。
オールステンレスの出刃包丁であれば、最低でもモリブデンバナジウムステンレス鋼を使用している以下いずれかの出刃包丁のほうがよかったかもしれない。

もしくは、やや高くなってしまうが、切れ味と衛生面とサイズを考慮して、Tojiroのこれか。

今更だけど、これを買っていれば満足できたと思う。。