Amazonで包丁を探すと、下村工業のヴェルダンという三徳包丁がベストセラーに挙がってきます。私も以前、実際に使っていた包丁です。以下の特長を備えていて、ベストセラーになっているのも納得です。
- 日本製(しかもステンレス加工で定評ある新潟・燕三条製)
- モリブデンバナジウム鋼を採用(サビにくい)
- 食洗器対応
- 2 千円台の低価格(2022年11月閲覧時点)
ヴェルダンを購入した当時は、”価格の割に” 使えるので満足していました。高評価もウソではないでしょう。
しかし現在は、似たような特徴を備えていて、より高価格な藤次郎の三徳包丁を使用しています(以下)。
両方ともメイン包丁として何年も使った経験から実感するのは、両者にはやはり大きな違いがあるということです。
今となっては、最初から今の包丁を購入していればよかったなと思います。
この記事では、安価なステンレス包丁と、より高級な包丁とで何がどう違うのかを紹介したいと思います。
問題は、切れ味がどれだけ続くか
ヴェルダン包丁も、購入当初や、研いだ直後の切れ味は、それほど悪くありません。
ふつうに果物や野菜を切る分には、充分な切れ味です。
問題は、その切れ味がどれだけ持つかです。使用頻度によって差はあるでしょうが、毎日2人分の夕食を自炊していた私の場合、1カ月ほどでその切れ味は衰えていた記憶があります。どのくらい切れないかというと、爪に刃を当てて滑るほどです。
よく、切れ味の鋭い包丁はケガしそうで怖いと思われがちですが、切れ味が悪い包丁は実際には危険です。ニブい刃は、触れただけで切れてしまう心配はありませんが、食材に引っかからず、すぐに滑って変な方向に移動してしまうので、別の意味で危険です。切れすぎる包丁は私もちょっと怖いですが、程よい切れ味は安全のためにむしろ必要と思います。
そのため、毎月のように包丁を研ぎ直していましたが、はっきりいって面倒でした。
より高価格な包丁を後に使って気づいたのは、研いだ直後の切れ味にしても、切れなくなってきた頃の切れ味にしても、低価格な包丁よりも優れているということです。
何カ月か使用すると切れ味が落ちてくることは実感できますが、それでも通常の用途にはほとんどストレスを感じないため、数年に一度しか研がなくなっていて、非常にラクです。
ステンレス鋼の価格と切れ味の関係
このことをきっかけとして包丁について勉強したところ、次のことがわかりました。
- (サビやすい)全鋼包丁は低価格でも研げば切れるが、ステンレス包丁は良い鋼材でないと切れない
- ステンレス包丁を買うなら、ある程度の価格の包丁を買うべき
詳しいことはわかりませんが、鋼材の厳密な質や種類、加工法などに違いがあり、それが価格が反映されているのでしょう。
そういうわけで、Amazon の売れ筋は 3千円未満の包丁(ヴェルダンのほか、貝印、ヘンケルス、パール金属などもあります)ですが、手入れのラクな包丁を長く使いたいのであれば、より高価格帯の包丁を購入するのがお勧めです。
※とはいえ、子供用包丁は長く使う予定がないので、私の息子用にはヴェルダンのこども包丁を購入しました。
コスパに優れる藤次郎包丁
1万円くらいのステンレス包丁となると、選択肢はたくさんあります。
中でも家庭用にお勧めなのは、オールステンレス。食洗器で洗えて煮沸消毒などが容易なので、取扱いがラクだからです。
そして、オールステンレス包丁といえば、ステンレス加工を得意とする新潟・燕三条のメーカー品です。
グローバルの包丁はデパートなどでも取り扱いがある、定評ある逸品です。
ただ、コストパフォーマンスを含めた私のお勧めは、私も使っている藤次郎の包丁です。一般向けの知名度は高くないかもしれませんが、藤次郎は割込を得意とし、業務用やOEMなどで世界的にも定評あるメーカーです。
この藤次郎で人気のステンレス三徳包丁といえば、以下の製品です。
しかし私のお勧めは、上記の1万円ほどする F-895 ではありません。お勧めは、FU-895 という型番の包丁で、以下の商品です。
F-895とFU-895の違いは刻印だけで、素材や形状の違いはありません。ブランド展開や販路、新旧などの関係で価格に差を付けているだけなので、FU-895 なら1万円クラスの包丁をかなりの割引価格で購入できるというわけです。